株式会社スガイワールド[スガイワールド]
機能を果たし、遊び心があふれるアイテム
「スガイワールド」は、ひげの形をした付箋からスタートしたメーカーです。
代表的なアイテムは、片手に収まる大きさのデスクまわりのグッズ。実用的でありつつ、見た人がくすっと笑える遊び心のあふれるデザインがスガイワールドの魅力です。くるくる踊るバレリーナのポーズをしたパンダやうさぎは、コードを巻きつけて収納するケーブルホルダー。手足が長いモンスターは、テープに抱きついてテープカッターになります。
環境に負荷が少ない素材を選ぶ
いちじつでは、紙製の袋留めクリップ「BO(ボー)」をお取り扱いしています。素材の風合いをそのまま残したシンプルなデザインは、スガイワールドの商品ラインアップのなかでは異色ですが、根底にある思いは同じ。それは「環境に配慮した素材でつくる」ということです。
「僕たちがつくっているような商品は、プラスチックを使う方が簡単に、安価につくれます。でも製造時のCO2排出量の多さや、マイクロプラスチックの問題は、多くの方がご存じかと思います」と、代表の須貝悠さん。
これまでの商品では土に還る紙を使ってきましたが、BOでは新聞、雑誌、ダンボールなどを原料とした古紙を素材に選びました。クリップとしての役割が終わったら、資源ごみとしてリサイクルが可能。めぐりめぐって、またBOに生まれ変わるかもしれません。
コンセプトの「Happy Design Gift Maker」には「関わる人が幸せになるデザインであること」という思いが込められています。「今の便利さや利益だけを優先するのではなく、できるだけ環境に配慮したものづくりを心がけることで、未来の人も含めて、夢と希望をもてる商品をつくりたい」と、須貝さんは話します。
想像から生まれる、固定概念を崩すアイデア
ものづくりで大切にしていることは、もうひとつ。固定概念を少し崩すデザインであることです。今までにないデザインの源は、須貝さんの「想像力」にあります。
会社勤めをしていた頃、満員電車が苦手で「こんなものがあれば日常が楽しくなったり、便利になるんじゃないか」という想像をして通勤時間を過ごしていたという須貝さん。電車が空いてきたタイミングで、そこから生まれたアイデアをイラストにして書き起こすことが習慣になっていたそうです。
アイデアを書き溜めたノートの一部を見せていただくと、なかを覗くと町や田園風景が広がる封筒、忍者のように壁に隠れるコンセント、見える世界が虹色になるメガネ……。絵本の世界のような、夢のある楽しいアイデアがいっぱい! 創業のきっかけとなった、ひげふせんのアイデアも書かれていました。
BOの“棒で袋を留める”というクリップとして斬新な形は、紙製の筒を触っているときにふと思いついたそうですが、常にちょっと違う視点で想像している須貝さんだからこそ、降り立ったアイデアなのかもしれません。
世界進出も、自分たちの目と手が届く範囲で
2017年からは海外展開を始めて、アメリカ、ヨーロッパ、アジアなど15カ国以上の書店やショップで販売されています。
日本国内に留まらず幅広く展開していますが、国内の協力工場に依頼する商品の製造以外は、須貝さんと妻の美由紀さん、夫婦2人の手で行っています。企画から取引先とのやり取り、商品の管理、卸し先への商品出荷も、拠点とする東京都世田谷区にある事務所の一室から。日本国内でも海外でも、「自分たちで直接コミュニケーションをとること」を大切にして、活動をしています。
会社を始める前から書き溜めてきたデザインノートは、今では20冊目に入り、アイデアの数にすると2000以上にもなっています。夫婦2人で営む小さなメーカーから、次にどんなおもしろいアイテムが世界に羽ばたくのか。とても楽しみです。