lilo株式会社[lilo]
暮らしの中で、長く、大切に使える道具
lilo(リロ)のダッチオーブンはいろんな使い方ができる鍋です。一番得意なのは無水調理で、さらに湯を沸かさずに蒸し料理、ふたでグリル料理、レンジ調理だってできます。
「工夫次第で使い方は無限大です。でもスイッチを押すだけの簡単な道具ではないので、使いこなせずに棚にしまいこんでしまう方もいらっしゃいます。まずはご自身の暮らしで使うところをイメージしてから、迎え入れていただきたいと思っています。そのために公式SNSではレシピや活用法をシェアしています」と、lilo株式会社の代表・堀勝通さんは話します。
日々の生活で毎日のように愛用し、長く使ってもらいたいという思いが詰まったliloの鍋。購入後も気軽に使い方の相談ができるよう、愛用者とブランドがコミュニケーションをとれるシステム作りに力を入れています。ブランド名は、「一生もの」「長く愛する」という意味を込めた「Life long」「Live long」という言葉から名付けられています。
特殊なセラミック素材を再発掘
liloダッチオーブンは、素材に最大の特徴があります。
7種類の天然鉱物を混ぜ合わせた特殊な国産陶土で、耐熱性があって硬くて丈夫、自動車の部品に使われる特殊な工業用セラミックと同じ仕様のものです。加熱時の遠赤外線放射率が非常に高く、食材の芯から熱を通してうまみや水分を引き出すため、無水調理ができるのです。
この素材と出合うきっかけは、創業メンバーの実家で使っていた土鍋です。岐阜県のある窯元から譲り受けたその鍋は、とても軽くて扱いやすく、火から下ろしても料理が温かいまま。そして何よりも料理がおいしくなる万能なものでした。
周辺地域では愛用されていましたが、広く流通することはなかったようです。そのため次第に作られなくなり、数少ない作り手もいつのまにか窯を閉じてしまいました。
「しかし、転機は突然やってきます。愛知県瀬戸市に製法技術を継承している窯元があると知ったことをきっかけに、創業メンバーは特殊で万能な素材と手しごとの技術をつなげるために立ち上がりました。
残されていたレシピに現代の感性とアイデアを融合して、素材の配合やデザインをアップデート。幾度にも渡る試行錯誤を重ねて、2021年にliloダッチオーブンが誕生しました。
信楽のものづくり精神を受け継いで
liloの拠点は、創業メンバーが生まれ育った滋賀県の信楽(しがらき)にあります。鎌倉時代から続く焼き物の町は、移りゆく時代のニーズに合わせて方向転換を重ねながら、現在まで陶磁器生産が続いています。
「古くから受け継がれている技術を、今の生活にフィットさせる。伝統産業でありながら柔軟性があるところが、信楽のいいところです。これは”手しごとをデザインする”という、僕たちのコンセプトにつながっています」と、堀さん。
デザインに派手さがないのも、暮らしに溶け込むことを重視しているからです。お客さまの手に渡ったその先を考えるビジョンは、信楽の職人たちから学んだといいます。
陶器は土を焼いて作られますが、再び土に戻ることはありません。縄文土器が今でも発掘されているように、いつまでも地球に残り続けます。このことをある陶芸家は「土を殺す」と表現するそうです。殺してまで生み出すのだから、責任を持って、何十年も、何百年も先を愛してもらえるものを作る——真摯にものづくりに向き合う姿勢をliloでも大切にしています。
たくさんのものがあり、簡単に捨てられてしまう世の中。思わず愛着が湧くような、いつまでも大切にしたくなるものを作って、「道具へのカンシャ」を思い起こすきっかけとなりたい。信楽のスピリットを受け継ぎながら、若きブランドはひたむきに走り続けています。