片岡商店
株式会社片岡商店
120年の歴史が紡ぐ、“丈夫で誠実”なかばんづくり
片岡商店は、1897年創業の老舗かばんメーカーです。創業時は兵庫県豊岡市を拠点にしていましたが、軍需品で需要の高かった「柳行李(やなぎごうり)」を製造するために広島県へ移りました。
柳の枝でつくられた柳行李は、衣類などを入れる旅行具として兵士が用いており、当時の暮らしには欠かせない存在でした。しかし戦後、柳行李の需要が途絶えると同時に片岡商店は方向転換を迫られ、旅行カバンや袋物、雨具の卸売業として再出発します。
現在は、広島市内の中学校向けスクールバッグメーカーとして約3割のシェアを誇る存在に。「中学生に3年シゴかれても壊れないバッグ」を掲げ、日々の通学や部活のハードな使われ方にも応える“タフさ”で支持されています。
片岡商店が創業以来ずっと大切にしてきたのは、「お客さまに寄り添う姿勢」です。特に象徴的なのが、ていねいなアフターケア。使い込まれて戻ってきたスクールバッグに向き合い、「この縫製が弱かったのか」「ここはもっと補強できそう」と改良を重ねてきました。
壊れたら買い替えるのではなく、直してまた使ってもらう——その地道な積み重ねこそが、“長く使える耐久性があるバッグ”という片岡商店ならではの価値を育んでいます。
「歴史はお金では買えない」——覚悟の事業承継と新しい挑戦
5代目・片岡勧さんが家業に戻った 2021年の当時、物価高騰や少子化の影響で経営は厳しい状況にありました。
もともと継ぐつもりがなかった片岡さんでしたが、先代である父親の高齢化とともに廃業の話が持ち上がったのをきっかけに、「120年以上続く歴史は、お金では買えない。やれるところまでやってみよう」と、覚悟を決めて事業を引き継ぎました。
片岡さんがまず取り組んだのは、学校指定品だけに頼らない新たな展開です。長年培ってきた“耐久性”を武器に、一般向けの商品や県外・海外への販路開拓を進めました。その中で生まれたのが、いちじつ でお取り扱いしている、“米袋シリーズ”です。
米袋×片岡商店——出会いが生んだ新商品
きっかけは、大阪府の米袋メーカー『シコー』の社長との何気ない雑談。「米袋の丈夫さで何かつくれないか」という会話から試作が始まり、改良を重ねて10kgの石を入れても壊れないバッグが完成しました。
食料品店の限定商品や、ドイツ・ベルリンで開催された水切り大会の景品に採用されるなど、サステナブルでユニークなバッグとして国内外で広がりを見せています。さらに広島市内の中学校では、SDGsの授業の一環として、印刷不良の廃棄予定米袋を使ったトートバッグのワークショップにも取り組んでいます。
「米袋の底力を、ぜひ体感してください!」と片岡さんは笑います。
120年以上受け継がれてきた“頑丈さ”と“ものを大切にする心”、そして「おもしろいと思ったらまずやってみる」という片岡さんの柔軟な発想。その掛け合わせによって生まれるかばんは、使うほどに愛着が深まり、日々の暮らしにそっと寄り添う存在になっていきます。