UTOPIA
終わりのない物語を紡ぐ「旅する衣」
「旅する衣」——そんな一風変わったテーマを掲げ、新潟から独自の表現を発信しているのが、服飾ブランド「UTOPIA(ユートピア)」です。 デザイナーの佐藤悠人さんが2017年に立ち上げました。新潟市の工房兼店舗「衣屋 - koromoya - 」を拠点に、日本の伝統や産業を取り入れながら、生地から企画した衣服や鞄、小物などを展開しています。
すべてのプロダクトの根底にあるのは、「19歳の旅人が、名もない場所を辿っていく」という物語。佐藤さんは、その旅人や旅先で出会う人々が身にまとう衣服や小物をイメージして、デザインしています。
「ファッション業界の目まぐるしいサイクルに、ずっと違和感がありました。次々に新作が出ては、時期が過ぎればセールになり、消費されていく。そんな流れから離れて、自分が本当に良いと思えるものを『永久保存版』としてつくり続けたかったんです」と佐藤さんは語ります。
流行に左右されず、ひとつの物語を紡ぎ続けていくスタイルは、服づくりだけにとどまりません。過去にはコンテンポラリーダンスや音楽を融合させたファッションショーを開催。単なる新作発表会ではなく、「旅する衣」の物語を目の前で実写化させるような試みも行っています。「ファッションに興味がない人にも楽しんでほしい」という想いから生まれた幻想的なステージは、観る人を一気にUTOPIAの世界へ引き込みます。
足元にある宝物、新潟の素材との出会い
「永久保存版の服を作るなら、メイド・イン・ジャパンで」という強い思いを持っていた佐藤さん。拠点である新潟を改めて見渡すと、織物やニットなど、世界に誇れる繊維産地としての豊かな土壌が広がっていることに気がつきました。
そして、さまざまな縁に導かれるようにして出合ったのが、江戸時代から続く伝統織物「亀田縞(かめだじま)」や、日本が誇る上質な「五泉ニット」といったこの地域ならではの素材。佐藤さんは自ら産地へ足を運び、職人たちと信頼関係を築き上げることで、今では生地の企画段階から参画してものづくりを行っています。
新潟から始まった素材との出合いは、今や全国の産地へと広がりを見せています。各地での展示会やイベントの出店を重ねながら、その足で現地の職人を訪ね、素材の生まれる現場に立ち会う——
そうした「旅」の中から生まれたアイテムは、まとうだけでどこか遠くへ出かけたくなるような、自由で心地よい風を運んできてくれます。
ハンカチ一枚から始まる、伝統との出会い
UTOPIAが衣服だけでなく、ハンカチや手ぬぐいといった小物を大切にしているのには理由があります。それは、日本の伝統素材が持つ「真の実力」を、多くの人に、より身近なかたちで伝えたいから。
「洋服はどうしても好みが分かれるニッチな世界ですが、ハンカチや手ぬぐいなら、自分用にもギフトにも手に取りやすいのではないかと考えました。亀田縞はもともと農民の野良着だったこともあり、驚くほど丈夫で吸水性がいい。さらに使い込むほどに風合いを楽しめます。まずは一度使ってみて、その生地の良さを肌で感じてほしかったんです」
日本が長年培ってきた「長く使える良いもの」を、全国へ、そして世界へ。使い勝手のいい手拭いやハンカチは、そのための「最初の一歩」となるアイテムなのです。
「ブランドを通じて、世界中の人たちと友だちになれるような関係性をつくっていけたら嬉しいですね」
その言葉どおり、佐藤さんの生み出すものは、産地の職人、デザイナー、そして使い手である私たちを、ひとつの物語で優しくつないでくれます。
ハンカチや手拭いを一枚、日常に添えて。きっとあなたの暮らしに、新しい物語を連れてきてくれるはずです。