KATA KUTANI

KATA KUTANI

株式会社にぐらむ

静けさをまとう、無地の九谷焼の器

石川県金沢市で2014年に始動したブランド「KATA KUTANI(カタクタニ)」が提案するのは、なんと無地の九谷焼。和洋を問わず使いやすい、日常に静かに寄り添うテーブルウェアを展開しています。

九谷焼といえば、色鮮やかな絵付け。そんなイメージが強く根付くなかで、KATA KUTANIは「白」に目を向けました。

一見すると静かな白。けれどよく見ると、わずかにグレーを帯びたやわらかな色合いのなかに、釉薬のゆらぎや貫入の繊細な表情が息づいています。ひとつとして同じものはなく、それぞれが異なる景色を持っています。

伝統的な“かたち”の美しさに目を向けて

KATA KUTANIを立ち上げたのは、「にぐらむ」代表の辻喜代司さんです。

辻さんの実家は鉄工所。自身もその現場で、機械や製造に長く向き合ってきました。そうした経験を通じて、さまざまな“かたち”や“構造”、そして“美しさ”に触れてきたといいます。

2000年には、富山県高岡市でセレクトショップを開業。その後、法人化や店舗名の変更を経て、現在の「niguramu(にぐらむ)」となり、2013年には石川県金沢市へ店舗を移転しました。「デザインとして美しいかどうか」を軸に、独自の審美眼で選んだ道具や日用品を販売しています。

そのなかで辻さんが次第に惹かれていったのは、装飾の豊かさよりも、素材そのものの質感や静かな佇まいでした。転機となったのは、ある窯元で出合った、絵付けされる前の九谷焼の下地。一般的にはあまり注目されず、「白では売れない」とさえ言われる存在でした。

しかし辻さんは、その下地となる器に、強い魅力を感じます。九谷焼には、菊皿やモッコ型、桔梗皿など、100種以上もの多様な型が存在しています。その一つひとつのかたちに宿る美しさに目を向け、そこに新たな価値を見出しました。

そうして辻さんは、窯元に残る伝統的な「有り型」のなかから、KATA KUTANIのシリーズとなるかたちを選定。さらに釉薬を見直すことで、やわらかな白の表情を引き出しながら、静かで凛としたKATA KUTANIならではの世界観を形にしていきました。

型に宿る、あたらしい景色

ブランド名のKATA KUTANIは、“型九谷”を表しています。そこには、九谷という名前をこれからも残していきたいという、辻さんの思いも込められています。

伝統的な型に新しい息を吹き込むことで生まれた器は、うっとりとしてしまう存在感があります。器の裏にも焼印として施されているブランドロゴは、辻さん自らが手がけたもの。じっと眺めてみると、浮かび上がってくるのは「九」の字。九谷らしさをモチーフにした、遊び心あるデザインに思わず笑みがこぼれます。

「食卓を彩る器としてだけでなく、小物入れやトレーのように使っていただいても素敵です。自分の好きなスタイルで、自由に使っていただけたら嬉しいです」

終始、やわらかな口調でお話ししてくださった辻さん。落ち着いた佇まいのなかに、気さくであたたかな人柄がにじみます。

九谷焼の知られざる魅力にまっすぐ向き合い、その美しさをていねいに引き出された器。使い重ねるほどに、自分だけの表情へと育っていく——そんな楽しみを、KATA KUTANIが静かに教えてくれる気がしました。

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